マイナス272˚Cで眠る

機能 Function

クマムシは無せきつい動物(背骨のない動物)の一種で、「ムシ」という名前が付いているが、昆虫の仲間ではない。体長は1ミリ以下と非常に小さく、顕微鏡でなければ観察できない。陸上にも海中にも生息しており、熱帯、温泉、深海、さらには北極など世界中の様々な場所から見つかっている。 このクマムシがスゴイのところは、生きていくのに都合が悪い環境になると、体内の水分を極限まで減らしてしまい、代わりにトレハロースという糖の一種を体にめぐらせて、乾眠と呼ばれる休眠状態になってしまう点である。こうなると、クマムシは世界最強の動物である。マイナス272度の極寒におかれても、体が凍ってしまうことがない。体内にめぐらされたトレハロースによって「過冷却」という現象が起き、細胞が凍結してしまうのを防いでいるからである。150度を越す温度でもへっちゃら、宇宙と同じ真空状態や6000気圧もの高圧環境、人の致死量を越えるX線を当てても生きている。また、乾眠状態のクマムシは、数年から10年間を生き延びることができ、水を与えてやると、復活してまた活動を始めることができる。クマムシの体が元に戻るのを、体内のトレハロースが助けているのである。

機能分類 Functional Classification

防御・安定:
耐寒耐熱休眠

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

応用技術 Technical Application

16年間も凍結乾燥保存されていたネズミの細胞から、クローンネズミを誕生させる事に成功している。人の細胞を長期凍結乾燥保存することできるようになるかも知れません。技術として確立されれば、クローン技術と組み合わせることで、細胞や臓器の移植といった医療分野で役立つことが期待されている。また、食品に応用することが出来れば、私たちは新鮮な食材をいつでも冷凍庫から出せるようになるかも知れない。

商品・サービス Products and Services

  • クローンネズミ

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

クマムシの例からもわかるように、トレハロースには細胞やタンパク質を凍結や乾燥から守る働きがある。この性質を、細胞を凍結乾燥によって長期保存させる技術に応用することができれば、医療や食品分野で役立てることができる。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

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