ジャイアント・ケルプに学ぶ新しい波力発電

機能 Function

私達の食生活でお馴染みのヒジキやワカメ、あるいはコンブといった海藻は、海底や岩に固着してそこから「葉」を広げ光合成によって生活している。流れが速く、荒れる海域に適した生活スタイルなのである。カリフォルニアのモントレー湾やオーストラリアのタスマニア島の近くの海には、全長数10メートルから100メートルまで成長する巨大な海藻が生息している。なんと1日に数10センチも成長すると言われ、「ジャイアント・ケルプ」(巨大な昆布という意味)と呼ばれています。まるで海の中の森のようである。 ジャイアント・ケルプの一つ一つの「葉」の付け根の部分の間には、気体がつまった小さな「浮き袋」がついており、たくさんの浮き袋を持つことで、巨大な海藻が海中で倒れてしまわないように支えている。また、この「浮き袋」のおかげで、「葉」は海流に沿ってひらひらと大きく広がるので、海藻はたくさん日光を浴びて光合成を行うことができる。

機能分類 Functional Classification

資源/エネ/情報の収集・貯蔵:
集光光エネルギーの利用
移動・廃棄・循環:
浮遊
形状・組織・システム:
拡大

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

応用技術 Technical Application

オーストラリアにあるバイオパワーシステムズ社は、海中でゆらゆらと揺れる海藻の動きに着想を得て、「バイオウェーブ」という波力発電装置を開発した。全高25メートルの装置であるバイオウェーブは、海流に合わせて「浮き」の部分が揺れて、装置の根本に取り付けられたタービンを回転させる発電する。潮流による揺れを回転運動に代え、それによって発電機を駆動している。回転運動を利用するといっても、風力発電のようにプロペラ型タービンが回る訳ではないので、海洋生物を傷つけてしまうことはない。回転するタービンの部分は装置の中に入っているので、海洋生物がぶつかってタービンを傷めることもない。また、悪天候などで波が激しい時には、自動的に浮きの部分が海底面と平行になるように横倒しになり、装置に過剰な力がかかって故障することを防ぐ。

商品・サービス Products and Services

  • 波力発電システム(バイオウェーブ)

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

原油価格の高騰や環境問題への社会的意識の高まりから、今までのエネルギーに変わる新しい再生可能なエネルギーとして、風力発電とともに波力発電が注目を集めている。周囲を海に囲まれた日本なら、このバイオウェーブのような波力発電を活用できる可能性がある。現在のカリフォルニア湾で見られる「ジャイアント・ケルプの森」のように、「バイオウェーブの森」が日本のあちこちの浅海で見られるようになるかも知れない。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

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