自由自在に水分を操るオクラ

機能 Function

オクラといえば、納豆や山芋のようにネバネバ系の食材として知られている。オクラは熱帯の北アフリカ出身で、高さは1~2m、先の尖った葉を持ち白い花を咲かせる植物である。私たちはオクラのさや(種の入った部分)を食べている。この種が、他の植物とはちょっと違うのである。乾燥した環境では、オクラの種の表面は硬くなり、種子の中から水分が逃げるのを防ぐ。このようにして、種の内側の貴重な水分を外に逃がさないようにしている。種の表面には「柵状細胞」と呼ばれる円柱形の形をした細胞がぴったりと並んでいる。これらの細胞が厚くなり、種の表面がより硬くなって水を外へ逃がさない。オクラの種表面に並んでいる細胞構造は、水分の流出を防ぐ壁の役割をする。

機能分類 Functional Classification

資源/エネ/情報の収集・貯蔵:
保水

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

Villavicencio MLH, Mabesa RC, Anatomical changes in the seed coat structures of three Abelmoschus species (Moench.) at different moisture content levels, THE PHILIPPINE AGRICULTURAL SCIENTIST, 85, 1,6-14, 2002

応用技術 Technical Application

商品・サービス Products and Services

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

オクラの種は、周囲が乾燥状態になると種の表面が縮んで水が通りにくくなる。この仕組みは、新しい保水技術の開発に役立つかもしれない。しかも、乾燥地域ほどこの技術は役立つ。例えばミャンマーの中央乾燥地域では井戸による水供給が大変重要である。オクラの種と同じ材料で井戸の外側を覆うことにより、蒸発する水の量を減らすことができる。また、畑で野菜を作るときも、オクラの種のようなシートを開発できれば、その新しいシートで畑をビニールハウスのように覆い、土からの無駄な水分の蒸発を防ぐことができる。周りが乾燥したときに、硬い素材に変化するようなシートの素材開発である。これによって、今までより少ない水でも作物が育ち、今まで水が足りないために農業ができなかった地域でもできるようになるかもしれない。 オクラの種の皮は、乾燥した外の空気に種の中の水分を出さないためのものである。この性質をもった、オクラと同じような素材を人工的に作ることができれば、食品の保存に役立つ。この素材から作った袋や箱に野菜を入れておくと、野菜から水分が逃げにくくなり、長い間新鮮に保存しておくことができるであろう。また、この素材はオクラと同じ植物性である。プラスチックの袋は捨てると、埋め立てられたり、リサイクルされる。しかし、そのときもたくさんのエネルギーが必要になってしまう。オクラと同じ素材であれば、使い終わった後は生ゴミと同じように肥料として利用できる。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

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