ザトウクジラのヒレは省エネ設計

機能 Function

ザトウクジラは、体長の3分の1ほどもある、長い胸ビレを持っているのが特徴である。よく見ると、ヒレの前縁にはコブがついて凸凹(でこぼこ)している。ジェット機のように高速で進む場合は、翼の前縁部分が滑らかな方が、水や空気の抵抗は小さくなる。ザトウクジラのヒレは前縁部分が凸凹しているので、抵抗が大きくて泳ぐことに適さない形のように見える。ところが、比較的ゆっくりした速度で泳ぐ場合には、ザトウクジラのようにヒレの前縁部に凸凹があるほうが都合良い。ヒレの周りを水が流れる時に、凸凹の「谷」にあたる部分の後方に渦が発生します。この渦が、ヒレの後方部分での水の流れをスムーズにすることで、水の抵抗を抑えつつヒレには揚力(翼を持ち上げる力)を生じさせる。そのため、ゆっくりと泳いでいてもザトウクジラは失速して沈むことはないし、方向転換する時もエネルギー消費を抑える事ができる。ザトウクジラの胸ビレは、すばらしい省エネ設計でできている。渦を発生させて揚力を得る仕組みは、トンボの翅とてもよく似ている(「トンボに学ぶ新しい羽の形」)。

機能分類 Functional Classification

効率(省エネ、省資源、軽い):
空気・水抵抗回避

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

応用技術 Technical Application

商品・サービス Products and Services

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

新しい形の回転翼を備えた風力発電が実現すれば、これまでの風力発電とは違って、風速の遅い地域でもゆっくりと回る回転翼で発電をすることができるかも知れない。また回転しても低騒音なので、周辺の自然や住民に影響を与える心配もない。 前縁部分が凸凹の翼を風力発電の回転翼に利用すれば、風の流れが遅い時にも回転して発電でき、さらに空気抵抗を抑えることで低騒音・低震動の風力発電器の開発が期待できる。低速でも揚力を得られる仕組みは、ヘリコプターやジェットエンジンの新しい回転翼、船や潜水艦の新しい舵、エアコンの新しいファンなどに役立てることができる。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

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