ヤママユガはがん細胞を眠らせる

機能 Function

ヤママユガは日本に昔から生息している蛾の一種で、メスは、秋に卵を産む。しかし冬の間は、卵の中で幼虫は眠ってしまう。実は、冬の間、幼虫は体内で細胞を眠らせる休眠物質「ヤママリン」を分泌している。ヤママリンで幼虫の細胞の活動は一時的に停止して、厳しい冬を乗り切るのである。そして暖かい春がくると、幼虫は目覚めて活動を始める。ヤママユガの幼虫は、ヤママリンを分泌することで、「眠っている状態」を作りだし、自ら細胞分裂を抑制し、冬眠する態勢を整えているのである。冬の間、動き回るよりも春に活動を開始したほうがヤママユガにとっては生き残っていくのに快適なのであろう。

機能分類 Functional Classification

防御・安定:
休眠

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

岩手大学農学部農学生命課程応用昆虫学研究室 鈴木幸一 教授 「昆虫の有する特殊な機能の解明とその応用開発」

応用技術 Technical Application

商品・サービス Products and Services

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

1)農作物に大きな被害をもたらす害虫の成長を抑える、新しい農薬の開発が期待されている。 2)がん細胞を「眠らせる」ことでその増殖を抑えるという、新しいがん治療の開発が期待されている。これまでの抗がん剤は正常な細胞にも大きな影響を与えてしまうので、副作用が大きいのが問題であった。しかし、がん細胞を休眠させる「静(制)がん剤」を使った新しい治療法が開発できれば、今までの抗がん剤のように正常な細胞を攻撃することがないため、副作用は少ないと考えられる。 ヤママリンの持つ細胞の休眠作用は、がんの治療に役立つ可能性がある。正常な細胞は、DNA(生物の遺伝情報がつまった物質のこと)の情報によって細胞分裂のペースや限度がコントロールされているが、そのDNAに異常が生じると際限なく分裂を繰り返しがん細胞となるのです。がん細胞を眠らせることで、その分裂・増殖を止める事ができれば、新しいがんの治療法となるかも知れない。がん細胞が増殖しないということは、がんによる病状がそれ以上悪化しないということだからである。このような治療法は今までにない新しい方法である。また農業では、害虫を眠らせることができれば農薬の代わりにも使うことが出来る。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

関連するライフスタイル Related Life Style