温故知新 ~古代魚に学ぶ新しい装甲~

機能 Function

アフリカの淡水域に生息する「ポリプテルス・セネガルス」は、恐竜がいた9600万年前にまでその系統を遡ることができる原始的な魚である。日本では「恐竜ウナギ」という名で知られているが、全身に鎧をまとってように見えるのでその名がついている。ポリプテルス・セネガルスの鎧は決して見かけ倒しではない。自分の縄張りに入ってきた相手を追い出すために戦ったり、自分よりも大きな肉食動物に襲われて噛みつかれたりした時に、体の内側体の軟らかい部分を防御する強固な鎧として機能している。 その防御能力の高さの秘密は鱗の構造にある。1枚の鱗の厚さは500マイクロメートルで、材質と硬さの異なる4つの層が重なった「積層構造」になっている。噛みつかれたときには、この積層構造で衝撃を分散させて、鱗の下にある体の軟らかい部分までを守る。外側の層は最も硬く、噛みついてきた鋭い歯に耐えることができる。真ん中の層は少し軟らかく,変形することで噛みついた時のエネルギーを分散させる。内側の層はベニヤ板のような構造で,さらにエネルギーを吸収する。鱗の積層構造のおかげで、攻撃されて鱗にヒビが入っても、ヒビは攻撃を受けた鱗周辺部分だけにとどめられて、損傷を最小限に抑えられる。ヒビ割れに強い積層構造の仕組みは、「割れないアワビの殻」と非常によく似ている。

機能分類 Functional Classification

効率(省エネ、省資源、軽い):
高強度

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

応用技術 Technical Application

商品・サービス Products and Services

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

戦場で兵士の身の安全を守るための、新しい防弾チョッキの開発に応用できる。また、弾丸や宇宙空間を高速で移動するスペースデブリ(宇宙のゴミ)などの貫通の危険に晒される、軍用の車や船舶、航空機、あるいは宇宙船、宇宙ステーション、衛星などの外装にも応用できるかも知れない。一方で、生物としてのポリプテルス・セネガルスに注目すると、魚類がいつ、どのようにして複合材料からなる積層構造の鱗を持つようになったのか、という魚類進化の新しい発見につながりそうである。複合材料による多層構造が貫こうとする力に対して強い設計であることを応用すれば、より安全性の高い装甲の開発方法につながるであろう。また異なる材料を組み合わせて作るので、強度を保ったまま装甲の軽量化を実現することができるであろう。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

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