カンガルーネズミは保存上手

機能 Function

カンガルーネズミは水をほとんど飲まず、えさとなる植物の種に含まれる水分でだけで生き延びる。できるだけ種の水分を失わないように、種を保存する巣づくりにも工夫を凝らす。巣の出入り口は数ヶ所あり、日中は出入り口にふたをして巣穴の湿度を外に逃がさないようにしている。巣の中には通路とつながったいくつかの小さな部屋があり、ひとつの部屋の直径は25cm程でなんと6kgもの種を保存できる。巣の出入り口から一番深いところにある貯蔵室は比較的湿気が少なく、逆に地表近くの貯蔵室はとても湿度が高く、カビや菌類が活発に繁殖している。カンガルーネズミは種に含まれる微妙な水分の量を感知する能力が発達しており、種に含まれる水分を失わないよう、種を最適な貯蔵室へ運ぶ。

機能分類 Functional Classification

資源/エネ/情報の収集・貯蔵:
水回収保水
効率(省エネ、省資源、軽い):
効率的配置
防御・安定:
調湿

環境ソリューション分類 Environmental Solution Classification

関連文献 Related Literature

STACKING OF SEEDS CHANGES SPOILAGE DYNAMICS OF FOOD CACHES OF THE BANNER-TAILED KANGAROO RAT (DIPODOMYS SPECTABILIS)José Herrera, Kari L. Ensz, and Amy L. Wilke Journal of Mammalogy 2001

応用技術 Technical Application

商品・サービス Products and Services

業種 Type of Business

応用技術提案 Proposals of Appilication Technique

昔から日本には、カンガルーネズミのように地下で作物を貯蔵する技術がある。地下むろという、作物の保存のために、地下に穴を掘った穴蔵のことで、主に大根やサツマイモなどの根菜が保存されてきた。多くの地下むろには貯蔵室が一つしかなく、湿度をコントロールすることが出来ない。しかし、カンガルーネズミの貯蔵室は幾つもあり、しかも深さによって湿度と温度が違うので、作物を移動させることによって保存環境を変えることができる。 みそ、納豆、漬物、チーズなど、これらはいずれも微生物に助けよって発酵させた、私たちの生活に欠かせない発酵食品である。レベルの違う幾つかの貯蔵室をもつカンガルーネズミの巣は、この構造を利用して、いろいろな種類の発酵食品を適した環境で長期間保存することができるようになるかもしれない。 私達にとっての食糧貯蔵システムに応用することができるであろう。長期保存できるカンガルーネズミの巣の仕組みを利用することで、電気を使わない作物の貯蔵システムも可能となるであろう。

応用業種提案 Proposals of Appilication Type of Business

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